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その封書は突然やってきた!事前に隊長から「マルキューゴールデンカップ」に抽選で当選したとの連絡を受けてはいたもののまるで実感がなかった。今年で第9回を迎えるこの大会、予選は全国各地で釣りあげられたチヌの魚拓審査で行われる。3月と4月に予選があり、各月の上位5名抽選7名の計12名、それに昨年の大会上位3名のシードが加わり総勢27名で栄えある栄冠を競うトーナメントなのだ。3月予選の上位5名の1尾長寸と重量、釣り場は次のとおりである。
1位、61.2cm,3.3kg,大分西ノ浦。
2位、59.4cm,3.6kg,大分西ノ浦。
3位、59.25cm,3.5kg,大分西ノ浦。
4位、59.1cm,3.7kg,大分蒲江。
5位、59cm,3.25kg,大分西ノ浦。
この結果を見ても如何に予選通過が困難を極めるかお分かりになると思う。 |
上位は全て大分の西ノ浦方面で占められている。これを今後の参考にしていただきたい。私クラリスはこともあろうに抽選の一番で予選を突破してしまった・・・(大汗)。
封書の中身だが、マルキューオリジナルTシャツと封筒が2通。なかなかこんなものは貰えるものではないのでしばらく雰囲気を味わってみる。挨拶文はニヤケ顔で見ることが出来たのだが、規定要項を見ていくうちに顔がひきつり始めた。大体、1時間交代で釣り座を変えながらノッコミも終わったチヌをそう易々と釣れる筈がないっちゅうねん!!その上、審判とか雑誌の取材とか来るし緊張しまくって手が震えるに違いない!!!なんか前夜祭とかもあるし、大会は月曜日だから本気度120%のセミプロ連中(プロも当然いる)ばかりが参加しているに決まっているし、そんな中でマトモに戦えって・・・、マジかよ・・・。 |
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まあ、クジ運が無い私めが一発で当選してしまったというのも何かの縁。それもこんな有名な大会の決勝戦にいきなり進出とは・・・。トーナメント参加を熱望していたサーフ部隊のお歴々もさぞや喜んでいることでしょう。エ〜イ!!俺も男だ!!!運命論者を自称する私クラリス腹をくくって行って来ます!!
いつの間にやらトーナメントクラブへの道をひた走り始めた我がFMA、その磯部長をおおせつかった不肖クラリスめが見事『豊後鶴見』の磯で玉砕してご覧にいれようじゃないですか!!シマノ鱗海カップでドスカを引いてしまった私の今回の目標はボーズ回避!そこんとこ「シクヨロチリバツ」ってことで!!! |
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「やばい!!」
この一言に尽きた。もっと場慣れしてから申し込みすべきであったと後悔していた。
前回、俺はトーナメント初参加の『鱗海カップ』で恐るべき事にボーズをかっくらい衝撃的競技戦デビューを飾っていた。タシケンとレンジはしっかりチヌを釣っていた。その上、タシケン等はいきなりの20位入賞、20位が3人いたためジャンケンで負けたとはいえ決勝進出紙一重だった。この信じられない出来事が更にプレッシャーとなって俺に追い打ちをかけた・・。
大会一週間前、俺は当然焦っていた。当然焦っても仕方ない事は十分わかっていたが、それでも当然焦るものだ。腕に覚えがある人ならいざ知らず、釣り大会にろくすっぽ出たことがないのだから。とはいえ、ジッとしていても始まらない、やはり練習は必要だろうと思いバロを引き連れて大分は鶴見に向かった。大体、鶴見湾一帯なんて行ったことないし、場所がわからなかったら困るし・・・、やはり焦っている。行ってみたらなんてことなく無事に鶴見に到着。しかし問題が発生した!鶴見湾一帯の磯とは何処のことを指しているのか全くわからなかったのだ。付近の渡船に電話取材を試みるが帰ってくる返事は曖昧なものばかり。米水津、鶴見半島をうろつき、鶴見港近くのトンネル付近に瀬渡し船を発見、船の名はTてるまる25Uだった。
「なんで25やねん!」
バロがしきりに一人ツッコミを入れていた。鶴見湾の磯と頼むが、最近はまるで釣れていないと渋い返事。それでもいいからと無理をお願いして2カ所ほど渡礁。一日中、色々試してみたが結局チヌは釣れない。殆ど練習にならなかった。不安は募るばかりだ・・。
決勝当日、旅館「わき坂」に到着。入り口にはマルキュー・スタッフの方々がスタッフ・ジャンパーを着て待ちかまえていた。いきなり行くのは、それはとてもとても恥ずかしいので道路の反対側からしばらく見学(この気持ちがわかってたまるかああ!!)。波止場釣り伝説のTダンゴ三銃士Uですっかり有名になった石田順一さんとかがいるではないか!!なんということだ!やっぱり来なければ良かった。
「バロ、サインもらってきてくれ!」
「何言ってるんすか!自分で行けばいいでしょ!!ボクだって恥ずかしくって出来ませんよ!」
「やっぱ出来るのはタシケンだけかなあ・・。」
「御意。」
しばらく車の中で考え込む俺、「よし!」と腹をくくって玄関先に名乗りをあげた。
「こんにちわ。」
「ようこそおいで下さいました!」
オオ!なんだか歓迎されているみたいだ。黄色のマルキュー・バッカンを渡され部屋に通された。バッカンの中には集魚剤が3袋入っていた。さすが、マルキュー主催の大会だけあって集魚剤の支給が嬉しいじゃあないかい!一回戦分だけで3つの集魚剤を支給してくれるのである。話では、前回大会では決勝までの三回戦分のマキエ、計九ヶ分の集魚剤を支給してくれていたが、最近の不景気もあいまってか今大会からは量が減ったらしい。そうは言っても今回が初参加の俺としては何か得をした気分だ。あとはマルキューのバッカンが貰えてうれしかった。交通費の支給は無いが宿泊代はマルキューがもってくれるのでそれも嬉しい限りだ。
旅館の3階に入ると既に先客がいた。河野さんといってとても人当たりの良い方で救われた。俺は緊張しまくっていたので正座してご挨拶、小春日和の暖かな陽だまりの中、心温まる時間が持てたお陰で少し気分が和らいだ(実はすでにきまくっている)。俺が脅えていたのは大会自体より、むしろ前日の懇親会の方であった。何が嫌って人前で挨拶をするほど嫌なものはない!俺は極度のあがり症なのだ。しかし、釣り以外の俺自身の今後の事も考えて(って、なんやねん!!)、これは乗り越えていかねばならない課題だと言い聞かせるのであった・・・。会場に行くと殆ど全員集合していた。雑誌で見たことある人が一杯いるぞ!常富さん、永嶋さん、橋本さん、金澤さん・・ウオオオ!!緊張するぜええ!!俺はタシケンのお株を奪う真空状態になっていた。コソコソとゴキブリよろしく目立たないように会場の隅の空いている場所に潜もうとしたが、空いていた場所はプレス関係者の隣であった。座にすわりテーブルを見ると豪華な海の幸が山のように並べてある。しかし、俺はそういった品がまるで嫌いなのだ。殆ど食べられない物ばかりで間が持たない、
「バイヤー、ズイマーだよジェリーちゃあん!」
便所に行くフリをしてジェリーに電話するが、そんなもの何もならんこたぁわかっている!焦りはもはやピークを越えていた。多分、顔は顔面蒼白だったのだろう、トイメンにすわっている人がにこやかに声をかけてくれた。
「初めての参加ですか?大丈夫、楽しいですよ!」
この人がテスターの柳田さんだった。凄く優しく励ましていただいてありがたかったが、それくらいで楽になれる状況ではなかった。そして遂に恐るべき抽選会が始まった。名前を呼ばれると会場正面まで歩いていき箱の中のクジで番号を決める。前年度優勝者の小林一史さんからクジを引き始める。小林さんは18番、誰が同じ対戦相手になるかはわからないが、頼むから俺にはならないでくれよ!そう思った・・・。次々と抽選が進み各選手自己紹介とアピールを楽しそうにやっている。余裕だよなあ・・、等と感心している間に俺の番が回ってきた。箱に手を入れクジを引く。番号を見た、17番・・・ってオイ!オ〜〜イ!!なんと小林一史さんの隣ではないか!!「やった当たりを引いたぞ!」
誰かが言ったような気がした。「なんでやねん!」とツッコミたかったが既に頭は真っ白になりかけていた。挨拶も何を言ったか覚えてはいるが、思い出すのが恥ずかしいので書くのはやめておこう。恥ずかしい話だが、緊張で俺は生まれて初めて腰が抜けそうになった・・。部屋に戻ってドッと疲れが吹き出した。同部屋の選手で俺よりも緊張している人がいたので少し安心、風呂に入って速攻で眠れると信じていたが緊張してなかなか寝付けない。その上、強烈なイビキで寝られない。結局、車の中で時間を潰すことになってしまった。
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