「これより当機は最終着陸態勢にはいります、シートベルトをご確認ください」
分厚い雲を抜けると夕陽に染まった玄界灘が突然視界に飛び込んできた。白波もさほどひどくはない。前日九州を通過した台風の影響は、思った以上に少ないようだ。
「これならば大会も開かれるよね」
「うん・・・」
今回の我々の目標は『勝つ釣り!』
FMAサーフ部門の威信をかけて我々は博多に乗り込んだ!
シマノジャパンカップ(投げ)九州大会
〜7・7新松原海岸〜
7月6日(土)
久々の里帰り、午前中に実家での用事を済ませHONDAのシビックを飛ばして一路北九州の岡垣町を目指す。都市高速で市の中心地から香椎までわずか5分、そこから国道3号線に乗る。先週のシマノジャパンカップ全国選手権の惨敗から1週間、全国の猛者が集まる大会の持つインパクトは確実に俺の中の何かを変えていた。ほとんどまぐれで当選したような全国大会、気持ち的にもどこか物見遊山なままで中途半端な試合をして後悔していた。その中で芽生えた強さに対する憧れ・・・それまでトーナメントは年に一度のお祭り、発表会に過ぎなかった。年に12回程度の(本当はもっと行きたいが・・)釣行回数の少なさも、どこか釣りに対する真剣さを芽生えさせないでいた。しかし、『強くなりたい』今回の試合で自分の何かを変えたい!勝つ釣りへの憧れが大きく心を占めていた。最初は軽い里帰りのつもりで応募した九州大会だったが、本当にエントリーしててよかったと心から思いながら目的地へ急いだ。
津屋崎町を過ぎると松原が海岸沿に広がり、海のブルーと砂浜の白、松の緑のコントラストが美しい。玄海国定公園ならではの景色の中1時間半ほどで試合会場になっている新松原海岸に着いた。初めて訪れる海岸だがどこか懐かしい北部九州ならではの遠浅の浜だ。駐車場に車を入れると先にきていた国が休憩している。調子は上々、17から25cmサイズが面白い様に釣れたという。さすが九州!しかもキス釣りにはベストシーズンの7月、明日はキロ釣りの争いだねと笑う。俺も30分ほど竿を出して下見をすることにした。最初の数投は5本針仕掛けに毎投5連、4連で掛かってきた。ポイントは5色半、次第に食いが落ちてきたので近場を探ると3色あたりで小ギスの連荘!小ギスといっても13,4センチはある。しかし次第に風が強くなる。やはり台風一過後の吹き戻しがまだあるようだ。今日は十分と竿をたたむ。その時FMAサーフの福岡部門の会長ことベン、そしてコゾブーと磯部長ながらエントリーしているクラリス、応援のバロとレンジが到着する。クラリス以外には我々jellyと国のエントリーは内緒にしていたので皆唖然!どうもこれを薄々知っていた感のあるコゾブーはそれなりに、会長は本当に驚いていた。まあ、大変だったのはクラリス、王様の耳はロバの耳状態で2ヶ月近くしらばっくれなければならなかったのだから。
今回の九州ツアーは当初このサプライズが目的だったといってもいいほどだった。FMA結成から1年・・初めてサーフ部門が全員集合したことになる。(全員が5人!)宿へ向かう途中、津屋崎町のやない釣具に立ちより餌のジャリメを購入。福岡地区にはチロリを置く店がほとんど無く、ここでもしょうがなくジャリメを買う。しかしこの店釣り具が安い!関東ではほぼ1割しか引かないがまかつの投げ竿が2割引!ダイワのリールSZ細糸用定価35000が19000円!衝動買いしてしまう!クラリスも磯竿メガドライを購入、本当に我々は釣りエンゲル係数が高い(笑)
遠賀川を渡り芦屋の国民宿舎に到着、温泉で疲れを癒し夕食。魚嫌いのクラリスと鍋嫌いのJELLYはのり弁当、他の皆は食堂で食事を取り、明日の仕掛けの準備を始める。オーシャンビューの窓から外を見ると海は少しうねっている。明日は今日よりは少し食い渋るかもしれない。もしくは群れが小さくなるかも・・・そんな事を思いながら床に就く。目を閉じ明日の戦いをイメージする。予想としては1回戦突破の20位ラインが最低700グラムあたりか・・・とにかく1投げ最低1匹、素針を引かないようにしつつ4,5連が何度もこなければ難しい。釣れる所ではまたその条件での厳しい気の抜けない戦いが待っている。周りも相当釣れるはずだ。相手とのというよりどれだけ集中力を切らさないか・・・まさに自分との戦いになるだろう。ましてや初めての釣り場、九州地区ではがま杯などもここで行われ地元勢は皆場所に慣れている。それだけでもハンディだ。コゾブーのいびきで眠れない・・・体だけでも横たえて休もう。
7月7日(日)快晴
朝の4時起床。朝食はおきまりのカロリーメイトと午後の紅茶ミルクティー。タックルを整えクーラーボックスにカロリー補給用のスニッカーをいれ、新松原海岸を目指す。駐車場に着くともうすでにかなりの選手が集まっている。九州の第一人者小谷選手の投好会のメンバーなど皆強そうだ。ぴかぴかに磨かれたキススペシャルが林立している。ここでショッキングな出来事が起こる。東京で買ってきたチロリ(東京スナメ)が全滅!皆白くなってちぎれているのだ!!昨日の夜までわりと元気で温度管理も17度ほどに保って水もきれいにしていたのに・・
「まいったねえ、こりゃジャリメしかないね」
北九州勢は皆チロリで攻める模様、やはり昨日も大型は皆チロリに食ってきたしなあ・・・・暗雲が立ちこめる。午前5時半に開会宣言、そのあとタックルチェックなど行われたが、シマノ九州の人たちはあまりなれてなく段取りの悪さに怒り出す人も出る始末、まだ2回目だしこれから頑張ってください。
今回は43人ハーフでAB2ブロックにエリアを分けて行われる。もうひとつエンジョイコースのエリアがもうけられたが、これは九州シマノのヒット!エンジョイの人も試合に遠慮せずに楽しめる。これは全国で見習って欲しいと思った。ゼッケンが釣り場に入場する順番くじもかねているのだが最悪の41番。タックルチェックの遅さもあって移動始めたのはほとんど5分前で釣り場にたどり着けるかどうかやっとだ。この海岸は川側のAと奥のBでは型がBの方が良いらしい。ブロックAは小型の数釣り、Bは良型狙いとなるのだろうか。LKsurfFMAのメンバーはというとAブロックはJELLYとクラリス、Bは国、会長、コゾブー。それぞれから10人づつがセミファイナルを賭けた2回戦に進むことが出来る。なんとしても2回戦には進出したい!釣り場に着いて間もなく開始の合図が鳴った。
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7月7日、日曜日。七夕のこの日、FMA九州本部サーフ部門のベン会長とコゾブー、関東支部の國と私ことジェリー、そしてなんと磯部門から天才的?バイプレーヤーのクラリスが友情出場という総勢5名のメンツが福岡県岡垣町の新松原海岸に顔を揃えた。シマノジャパンカップ九州大会に参戦のためだ。対馬釣行会で参加できなかった國とジェリーにとってはFMA第一回例会にもなった。
九州でこの大会が行われるのは今年で2回目、会場が福岡県に移ってからは初めてという記念すべき回である。当日は5時30分から受付開始、ゼッケンナンバーはクラリス15番、ジェリー40番、ベン会長45番、コゾブー48番、國72番となった。1〜43番がAブロック、44番〜87番がBブロックという2つのエリアに別れての1回戦になる。 |
さあ、いよいよだ!私と國が張り切って餌を見て大ショック!!わざわざ東京から持って来たチロリが全滅して溶けていた。仕方なくジャリメを分け合っているとクラリスがやって来た。
「お前ら頑張れよ、俺が参加したからには一人はセミに行けるぜ。まあ、俺は検量が目標だけどな。」
「なんば言いよっとや、貴様!」
何の根拠も無い戯言を言うクラリスは、本命の磯釣りでは無いことをいいことに太々しく余裕綽々だ。それに比べてトーナメント初参加のコゾブーとベン会長は顔がひきつっている。
開会宣言につづきタックル検査が行われた。ゼッケン順に釣り場
に移動するらしく、その直前にクーラーの中身を検査をしているのだが、シマノの職員も慣れてない人が多く段取りが悪い。怒り出す人もいる始末で、なんとなくどたばたの中で試合が始まろうとしていた。Aブロックはクラリスとジェリー、Bブロックは国、ベン、コゾブー。皆思い思いに移動し始める。
90人近く選手がいるにもかかわらず会場エリアの狭いこと!ほとんど皆竿が当たるくらいの間隔しかとれていない。最も狭い場所での釣りを強いられる関東大会よりまだ狭い!これはお祭りだらけの大会になりそうだなとの不安を胸に移動を開始した。 |
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Jelly、アホぶりをいかんなく発揮する
順番が遅かったためてきとうに空いた場所に入る、開始の合図では準備が間に合わず、少し遅れて第1投、5色半ちょいに投げ込む。あたりなし・・2投目も4色までさびくが当たりがない・・・これは近場かな?と思った所でシマノの係りの人に呼びとめられる。
「あのー、ここはエンジョイコースの場所なんですが」
えーっ!まじですか?びっくり仰天、周りの人も笑ってるし!失笑の中あわててチャンピオンコースのエリアに移動するも今回の人数に対して範囲を狭く設定しすぎているので、狭い関東大会より人の間隔がない。
「まいったなどこも入る所が無いや・・・」
しばし呆然としていると黒い帽子が目に入る。もしかしてあれは全国選手権の帽子?それをかぶってる人ならば人格的にも優れた人だろうとおそるおそる入場するとすんなり入れてくれた。
「ありがとうございます。エンジョイコースから追い出されたアホですがよろしくお願いします」
と心の中で礼をのべ準備開始、この時すでに20分が超過していた。あーあ・・・なんてこった・・・今回あれほど勝つ釣りを目指し気合をいれたのに、これでは戦う前から負けたも同然だ・・・自分のアホさがほとほと嫌になった。しかし悔やんでばかりもいられない全力ダッシュで連荘しまくるしかない。リーチ一発、ツモツモツモとくりゃあ20位には滑り込めるかも!アホのプラス思考で気持ちを入れ替えた。
実質的一回戦開始
がまかつキススペシャル7号と下針8号の7本針、モトスホンテロン1・5号、ハリスはアクアキングの1号の仕掛け。竿はシマノスピンサーフSC・CX、5月の交通事故で首を痛めていらいCXが楽なのでBXから代えている。しかしこれが意外と飛距離が出る上トラブルレスでお気に入りの竿となっている。オモリはカイソー25号固定、道糸はシマノキススペシャル0・6号だ。竿以外はキススペシャルだらけの仕掛けで臨む。とりあえずやり直しの1投を5色半ちょい付近に投げ込み4色までをさびくが当たりが無い。不思議に思い2投げ目を4色に投げ込み丁寧に近場を探る。小さな当たりがあり上がってきたのは13cmサイズのキス2匹。とりあえずはほっと一安心、どうもこっちのエリアはポイントが近いのかもしれない。とりあえずは釣れたポイント付近で釣れるだけ釣ろう。周りを見渡してもあまり連では上がっていない。昨日の夜のうねりが少し影響しているかも・・しかしこれだけ100人近い人が一斉に仕掛けをほうり込むわけだから大会ではなかなかゾロゾロとは行かないものだ。しかし人より出遅れている分頑張らなければならない。続いて同じく4色に投入、周りでは浜に上げたキスがポロポロと外れるシーンが目に付く。
「やはり食いが浅い・・・極めて丁寧にさびこう」
3色あたりで小型が3連!小さい・・やはりジャリメの餌では中大型は食わないか・・・しょうがない完全に数釣りだ!餌を小さく付けフグもいそうなのでこきあげも止めて針いっぱいだけに刺す。3色半に投げ込み2色半までの1色だけを徹底的に丁寧にさびき、手返しを早くする。その甲斐あってか連荘ショーに突入!なかなか5連とはいかないものの3連4連を連発し残り1時間で20匹まで数を伸ばす。連釣りするたびに後ろでギャラリーから拍手も貰い、調子も上がる。しかしこの頃から当たりがぴたっと止まる。
「よし、遠投に切り替えだ」
針を5本針仕掛けに代え5色半あたりでぽつぽつ拾い釣りで少しづつ数を伸ばす。この釣れない時間帯をどうやりくりするかがトーナメントで大事な所だ。周りでは諦めて座り込む人もいる。やはり九州とはいえ日が昇りこれだけ人が多いとキスのよりも散漫になる。しかし、粘ればいつかまた時合が来る。しかし猛烈な暑さが体力と気力を奪う・・しかしここで奮起!自分に自分は強いのだ、強い釣りを目指すのだと昨日の誓いを言い聞かせる。猛者が集う湘南で釣りをやってるプライドを思い出せ!強い選手は集中力をとぎらせる事がない。先週の悔しさが頭をよぎる。5色付近で当たりが止まったところで7本針に切り替えて待つ。8時30分、仕掛けが少し流され始め潮が動き始める。生きの良い餌に付け替え再度近投勝負、3連の連荘!いずれもかけあがりの頂点付近で食ってくる。コリャ、難しい!かけあがりを越える時に乱暴にならないようにスーパーエアロEVを時計の長針のスピードで動かしながら誘う。
9時、納竿。何とか30数匹まで数を伸ばし検量にむかう。しかし、釣れる場所での試合はしんどい。いくら釣っても安心できないのだ。暑さのため最終的に何匹か数え忘れたが500グラムは何とか越えたか・・・型が小さくそれも不安材料だ。Aブロックは総じて型が小さくBの人たちに比べると割とキスを入れた袋の膨らみが小さい。なんとか10位に入って次に進みたい!そして検量、35匹、609グラム!10位にははいるだろうか?とりあえずクーラーに腰掛けライトコーラを飲みながら仲間の検量を待つ。クラリスは初参加ながらというかほとんど投げの経験が無いのに3匹、健闘だろう。会長、コゾブーは0匹。10号針の仕掛けで釣ったらしい!あれほど小針にしろといったのに昨日これで20センチ級を釣っているので慢心したらしい。海の状況は刻々と変わる。ましてやトーナメント、思い込みは禁物だ。さすがに国は45匹685グラム!Bブロックを堂々4位で余裕の通過、さすがである。そして俺は!驚きの1位通過、2位が450グラム代なのでぶっちぎりの1位だ。
「うそやろー?」
確かに一生懸命やったが20分のロスタイムもあったのに・・望外の結果である。AブロックJelly1位、Bブロック国4位!FMA投げ部門の関東勢としては面目を失わずに済んでほっと一息だ。磯部長クラリスも5人中2人が2回戦に進みFMAの躍進だと喜んでいる。喜びもつかの間次の2回戦が迫ってくる。20人中3人が全国セミファイナル出場の権利を獲得する。交通事故で棄権した関東大会、無理して出場したがほとんど投げられず怪我を悪化させた東海大会A。ことしはまともに試合が出来てない・・・これがこの夏のラストチャンスだ!
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