第1回 ダイコーFFGPグレトーナメント 鶴見大会
Text by Klaris
『ダイコー』が磯上物では自社初のトーナメントを開催する!この情報を聞きつけた俺は、レンジ、タシケンを引き連れて前日から練習も兼ねて鶴見に入っていた。宿はもはやFMAではお馴染みになりつつある旅館『わき坂』。他にも宿はあるのだろうが、客が少ない上に風呂にはいつでも入れるというところがどうにも都合がいいのである。試合前日の釣行で良型のグレを釣っていたため、「前日キング」になるのではないかという心配が脳裏をかすめていたが、(詳しくは釣果報告前日キングを抜け出せ!」を参照)この際、そんな妙なトラウマからの脱出もはかりたいところである。

大会会場は鶴見港の少しはずれにある広い埋め立て敷地。参加人数は215名!ということでこれは立派な大会だ。エントリーを済ませてきたタシケンが2名1組のペアでもオッケーというので、俺はタシケンと磯に上がることにした。レンジはというと先日参加した『模擬トーナメント』で知らない人と対戦したかったのに、くじ引きのすえにバロと当たったものだから、今回は是非見知らぬ人と対戦したいということでフリーエントリーにした。タシケンとペアで磯にあがれるので取材カメラもオッケーだし、プレッシャーも全くないので楽な大会になってしまった。

会場を見渡すと、第一回大会ということもあってか九州各県から釣り自慢が大挙押し寄てきている。メーカーのダイコー自体も上物の大会は初めてのようで要領を得ていない様子だ。大会ゼッケンも無いし急造トーナメントの感は否めない。今回、大会開催告知のポスターには竿はダイコーに限ると記載してあったにもかかわらず、参加申し込みが少なかったためか急遽何処のメーカーの竿でもよくなった。事前にその事実をいち早く入手していたが、既に、その前の時点でダイコーロッドを3本も買っていた俺はただ呆れるしかなかった。

予定していた「ダイワ・グレ・マスターズ」も棄権していた為に本格的なトーナメントは久しぶりだ。大会前々日、バロの不参加でクラリスこと俺、タシケン、レンジの三名は鶴見は旅館「わき坂」から大会会場へ向かった。旅館に泊まるのは単にきついからだけで特に気合いが入っているわけではない。会場に着くといるわいるわ!なんとエントリー215名!!噂ではかなりの数のテスター陣もいるというではないか。まあ、我々の目標は検量だから気にしなくてもいいけど・・。
この大会、参加人数が多い割に段取りが雑な気がした。竿も最初はダイコーだけと言っていたのに土壇場で何でも良くなったし(我々はちゃんとダイコーの竿を使用した)、ゼッケンも無いし、タックル・チェックも無い・・。あげくには二人一組のペアで上礁してもいいと来た!こんなことならバロも来れば良かったのに、とタシケンとレンジとで一頻り盛り上がった。

大会説明も終え、各々が瀬渡しの前にスタンバイをかける。参加人数が多い今回の大会は渡船が2往復して選手を磯におくるシステムだ。俺達は抽選で一便目の船に乗る。しかし、俺達が乗るはずの船がまだ来ていない!他の船はどんどん出船していくのに俺達のところだけボーっと船が来るのを待っている。
「なんだよなんだよ、これじゃあいい場所は全部無くなっちゃうじゃんか。」
「どうなってるんすかねえ・・・。」
30分以上待たされてようやくやってきた船はナカナカのおんぼろ船だ。大会関係者も慌て気味でろくすっぽタックルチェックなんて無かった。
「こんなことなら前日のクロを持ってくればよかったなあタシケン。」
「そうですよねえ。レンジの組はとうに出ちゃいましたよ。」

まだ鶴見のことなんぞ何も分かっていなかった俺は、船が瀬付けして次々と選手を降ろして行くがそこがどの場所なのか検討もつかなかった。後になって知ったことだが、『ダンバナ』『ダン窓』『対面の窓』といった鶴見大島の一級ポイントだった。そして、俺達が上礁したのは『トンネル』というステージだった。『対面の窓』から急激に切れ込んだワンドの奥が俺達のポイント、ワンドの奥にはトンネルらしき穴も見えるのでそこから『トンネル』となったのだろうか・・。

夜空には満点の星、夜が明ければ快晴にちがいない。しかし・・・、
「試合開始まで2時間半もあるじゃねえかよ!」
「何すればいいんすかねえ・・。」
取り敢えず弁当を食ってタバコをふかすがどうにもこうにも時間はたたない。ちょっと時間は早いが仕掛けを作ることにした。俺の仕掛けは、ロッドはダイコーのA-ONE 1.5号530、リールはダイワトーナメントZ-LBCD2500・・、あとはよく憶えていない。タシケンの方はダイコーの名弓というロッドをスタンバイしていた。仕掛けを作り終えてもまだ一時間以上ある。目の前の海では2便目の渡船が頻繁に行き交っていた。

磯で「ボーっ」と待つこと2時間半、ようやく試合は開始された。夜が明けるとうねりが少し残っていることが判明。季節外れの台風の影響のようである。時折、予想以上の波がやってきてバッカンが何度も流されそうになる。
「釣れん!!やっぱり釣れんやないか・・。」
沖で潮が走っているが足元はうねりの残ったサラシの割には潮が動いていない。マキエを撒きまくるがハコフグの姿があるだけ。

「またもや前日キングかよー・・・。」
上げ潮ということもあって釣り座はどんどん岩場の上へ、ワンドの奥へと移動させられる。サラシの先端に仕掛けを入れるが当たりがあってもベラばかり、タナを竿一本で深めに探りを入れているうちにようやくクロがヒット!
「やった!!検量出来るぜえ!それにしても小さい・・ギリギリじゃねえか?」
「いいなあ・・、ボクも釣りたいですよお。」
「そんなこと言われてもなあ・・。」

レンジはこの大会もペアが知っている人だと嫌だとフリーでエントリー、別の渡船に分かれていった。もう、既に渡船の名前すら忘れてしまったが(大汗!)、多分、大島のどこかの磯に上礁。オリオン座や北斗七星等の星降る夜を見上げて準備開始。夜明けとともに試合開始である。折角、タシケンと同じ瀬にあがったのだから掛けた方が叫んだら写真を撮るという事で始めることにした。
マキエをサラシに打ち込む。徹底的に打ち込む、しかし魚影が無い・・。エサ盗りは皆無、ハコフグが際に2,3匹いるだけだ。仕掛けをどんどん深くしていくが全くエサが無くならない。これは危険な兆候に違いない。下手をするとウルトラ・パーフェクトの兆候かもしれない。
しばらくはウキになんの生体反応も見受けられない状態が続いた。「まったく・・・、また前日キングかよ!」
と、思っているとツケエが消え始めた。エサ盗りが出現しだしたのか?気配は感じ取られない。愛用鈎の競技ヴィトムをチェックするが色落ちしていない。これはオナガの回遊かもしれないと感じて、俺はツケエを堅めのモノに変えてタナも2ヒロ固定に戻した。マキエは相変わらず際にしか打ち込まない。あくまでマキエはサラシの勢いに乗せて効かせる狙いだ。そのサラシの泡の先端部分を攻めている時に突然ウキが消し込んだ。
「よっしゃ来た!!」
オナガのそれと見切って早めに合わせを入れる。乗った!!タシケンが慌ててカメラを構える。試合中にこんな事やってていいんかいなと思いつつ・・、しかし大して引かない。
驚くべき小ささ・・・、規定が土壇場で23cmに変更されたためどうやらカツカツでキーパーといったところだ。
「オナガやけど思いっきり小さい・・。これ一匹を検量に出すのは恥ずかしいなあ。」
「そうですねえ・・。でも、釣れるだけマシですよ。」
さすがのタシケンも思わず苦笑いである。とは言うもののタシケンにはまだ一度もアタリらしきものが無い。タシケンの顔が険しくなっていった。
その後、何度かアタリはあるが乗ってこない。ツケエはしっかり盗られているからオナガの気配は継続している筈。ちゃんと鈎掛かりしないのは、「仕掛けが真っ直ぐ張れていないのでは?」と思った俺は少し休憩しながら考えた。見た目には遙か沖の本流にゆっくりと引かれる潮の筈なのに何故か仕掛けが張れていない。ひょっとすると潮がそこで違う動きをしているのではなかろうか?
俺は足元から右沖へ流れているように見えるこのポイントの左沖に遠投を開始した。かなり沖に小さな泡が見えた気がしたからだが、ウキがほとんど見えない。ツケエはいつの間にか無くなっている。どうする?しかし、それから数投目に手元に直接激信が走った!!

前日に浅いタナでヒットしていた事もあり、俺はウキをG2にチェンジし完全フカセにして遠投に切り替えた。遠投した時にツケエが飛んでしまわないようにボイルにチェンジ。手前では右流れの引かれ潮なのに沖に遠投すると更に沖の方に仕掛けが引っ張られていく。何か面白い気がしたので何度も遠投を繰り返した。ハッキリ言ってウキは見えない。突如、ラインが一気に直線になった。
「ウオッ!!」
と叫ぶ間もなく一気に竿にパワーが加わった。
「ギエエエ!!来たああああ!!!」
恐ろしい勢いで沖にラインが引っ張られる。トーナメントZの使い方がよく分かっていなかった俺はドラグのみでのやり取りに入る。シマノBBXテクニウムばかり使っていた俺はダイワのリールのレバーブレーキの使い方が分かっていなかったのだ!「取り扱い説明書を読め!!」と、みんなに言われるが、俺とジェリーはそんなものは読まない主義なのだ。随分と後になって実は使い方は殆ど一緒だと分かったが、勝手な思いこみが何か特別な操作テクニックが必要と思わせていた。いずれにせよドラグ付きはやり取りが楽チンであった。お陰で下手なライン出しもせずにやり取りが出来た。タモ入れしてみると45はありそうなデカバンオナガグレ!であった。
「やったあああ!!!!!!!」
「スゲエエエエエ!!!!!!!!」
オナガのこのサイズは初めてだったので俺とタシケンは一頻り大騒ぎである。


大会であることをすっかり忘れてHP用の写真をパシャパシャ撮りまくり、生かしバッカンに海水を汲みブクブクもつけて万全の体制でお茶なんぞ飲んでいる俺。
「釣らないんすかクラリスさん!」
「ア!!!忘れとった・・。」
既に規定サイズを2枚という自己新記録に満足しきっていた俺は、無意味な余裕をぶっこいていたのだ。二匹目のドジョウを狙って同じ遠投を続ける。すると再びヒット!
「ウヒャア、また来たぜ!!」
先ほどでは無いにしろ結構いい引きである。タモ入れしたグレは35クラスのやはりオナガだった。
「ヤッタゼ!こりゃ入賞もあるぜ。」
「いやあ、優勝するんじゃないすかあ?」
「バカかお前は、そりゃ無理ぜ。あと一匹このサイズが来ればわからんけどな・・。」