シマノジャパンカップ上越大会は新潟県上下浜で開催された。おいらにとって上下浜は初めての場所である。綺麗な日本海、白い砂浜を素晴らしいロケーションに期待していた。昨日、ジェリーがシマノジャパンカップセミファイナルに出場した福井県三里浜から北東約300km、神奈川から北へ400kmの距離だ。おいら達は福井県から北陸自動車道を北上し上越に向かった。
前回のJC中部大会で運良くセミをゲット出来たが、今年のトーナメント参戦としては2戦目にあたる今回はどうなることやら。前回のセミゲットを偶々のマグレにしないように今回も気合いを入れて上位入賞といきたいものだ。しかし、初めての場所で下見もしないで、競技するとなればかなり不利ということは認めざるを得ない。大会当日俺達がどれくらい即応出来るかがキーポイントであろう。
ジェリーは昨日のセミファイナルの疲れが残っているはずだが、なぜか目覚めた彼は元気だった!この男は睡眠時間さえあれば、いくらでも体力回復できるらしい。
「バナナうまかったよ!」
「えーもう食った?」
「二本食った。」
「うまかたんだ〜・・・・。」
ジェリーは競技中の糖分補給のために渡していた貴重なバナナを朝一番から食ってしまっていた!そう、美味かったのだ。食欲があるということは元気な証拠やね!ジェリー君!今日は君がセミを取る番だぜ!ファイト!一発!!
「あれ・・、こんな浜でやるの?想像と全然違うんだけど。」
「う〜ん・・そうやったかね・・。」
「真っ白い綺麗な砂浜が延々あると言ってなかったけ?」
「誰が言ったんだろうね?ちょっとちがうね〜。」
上下浜の景色は俺の想像とは大きく異なっていた!ジェリーは一度この場所で参戦したことがあるが、数年前のことで詳しいことは忘れてしまった様子だった。砂浜の奥行きは狭く傾斜がきつい。会場の浜は全長3kmといったところだろう、ここに250名近い参加者が入るとなると狭い感じがする。
想像と大きく違うロケーションにがっかりている時、湘南ナンバーの車が横に停まった。神奈川サーフの人達だ!大磯の清水さんや小倉さんが車から出てきた。これは心強い!!上越大会だから地元の知らないクラブばかりで当然知っている人も全くいない。顔見知りがいるだけで安心する。おいらにとって未知の海だから、清水さんからの情報だけが頼りなのだ。迷える子羊の質問攻撃に清水さんは快く答えてくれた。昨日、下見をした情報によるとキスは近場にいるらしい。小型が多いが時々20cmクラスが混ざるということだった。
シマノ実行委員の説明によると、参加者約230名(忘れました)、セミファイナル進出者9名、そして会場を半分に分けゼッケン番号の奇数が会場左側、偶数は右側と二つに分かれる方法をとった。そしてそれぞれのパートから10名づつの合計20名が2回戦に進出できることになる。ジェリー、清水さんは偶数、俺は奇数になり俺一人が左側で競技することになった。奇数の約120名のうち10位以内に入らないと2回戦へ行けないのか。120名といえば関東大会の保田の規模かな〜、その中で10位以内とは予選通過を半分にされたようでプレッシャーを感じた。俺だけ奇数で一人になるのは、寂しくはないが状況を把握している清水さんに着いていけないのが難点だった。何も知らないことは当然不利だが、ここが戦場なのだ、やるしかない。初めての場所でどれくらい順応出来るかやってみるべー!
実行委員の合図と共に皆一斉に釣り座へ向かう。おいらも小走りに会場の左側の向かった。ポイントが判らないので、とりあえず先頭集団の後ろを小走りに着いて行くことにした。そしてここで『國の丸秘セコ技』が実行された!それは集団の中からポイントを知っている人を見つけ出す技だ!良いポイント知っている人は、言葉に出さなくても姿を見ればわかるのさ!ふふふのフ!ここからすでに勝負は始まっている。
ということで、絶好のポイントを知っていると思われる人のそばまで着いていき、波打ち際が微妙に変化している所に勝負の場所を決めた。海水を触り海の神様に挨拶をした、一礼し今日の健闘を祈った。振り向くと!神奈川サーフの小倉さんが通り過ぎていった!
「おれはもう少しあっちだ!」と50m左側の場所に陣取った。
「あっそうなの!ポイントはここじゃないのかな?」
ポイント選択に不安がよぎった。おいらの感ではここだからここでよかろう。試合開始までのあいだに仕掛けをセットする。
本日のタックルはNEWキススペシャルCX+(以下C+)、エアロチタンリールにセンシティブハンドルと白スプールラインはPE0.8号、デルナー天秤27号、キススペ6号の6本鈎をセットする。エサはジャリメと宮嶋屋のチロリ、3日前からかなり注意深く温度管理しておいたので当然活きがいい。大型のキス狙いでチロリから使うことにする。今回がキススペC+の初デビュー戦だ!いつもは飛距離重視のAXやBXの堅い竿を使用するが今回は遠投の必要がなさそうなため、食い込ませと感度重視のC+にした。今後このC+がどう活躍してくれるか楽しみだ。
6時開始の爆竹が鳴った!第1投目は2色半に落とす、2色と波打ち際で釣れていたという事前情報から、その2カ所を中心に探る。2投、3投するも釣れない、周辺ではポツポツ釣れているのがわかる。周辺の人も俺と同じように近場を探っているので探るポイントは外れてはいないはずだ。4投目に波打ち際で10グラム程度のピンギスが釣れた、そして6投目には1.5色で23cmクラスのキスが釣れた。その後大型狙いで2色から1色を探るが後が続かず全く釣れなくなってしまった。遠くに見える小倉さんは波打ち際でピンギスを2連、3連と調子良く釣っているのが確認できた。小型のピンキスが1匹10グラムとしても4投すれば5〜6匹となり、大型1匹に相当するペースで釣れている様子だ。大型は2色でかかったがここで粘るのは・・・・俺は大型狙いをあきらめ波打ち際の小型キスを多数釣るように切り替えた。
しかし近場を探るもキスが釣れないのである、その間遠くの小倉さんは小移動を繰り返しながら調子よく釣り上げていた。あーいかん!このままでは着いていけない、完全に出遅れている。こんな時は気分転換に仕掛けを変えてみよう、キススペ4号鈎の10連結仕掛けに交換した。小型多点釣り用の仕掛けだ。エサはチロリからジャリメに変えた。探るポイントはほぼ一緒であるはずなのに俺だけ釣れないのは何故だ?!何が悪いのか見つけ出すのだ!時計は7時30分、開始から1時間30分経過した残り半分だ。これまでの釣果は2匹だけだった。
「奇数で10位に入るのは難しかろう。」と、なかば諦めムードだった。その後、波打ち際をしぶとく探っているうちに、小型キスがポツポツと釣れてくるようになった。アタリがあった時の事を分析しながら、エサ、仕掛け、さびきなどを変えて次の投入時に試す、これをやっているうちに、釣り方のパターンが見えてきた。その釣法パターンがズバリ的中したようだ。その後、毎投しかも2連3連でキスが釣れて来るようになった。
よーし!残り1時間ちょいだがどこまで行くかやってみるぞー!!80mほど先に広い隙間がある所を発見した。移動して釣ることにした。もし、ここで釣れるようであれば、『國の丸秘セコ技2』が用意されていたのだ。この広い隙間を有効に使う釣り方だ。キスは極狭い範囲でしか釣れてこなかった、この狭い範囲を斜めにさびくことにより効率よくキスを釣り上げる作戦だ。ポイントが10m先の1mの範囲で釣れていたとする、仕掛けがポイントに来たときに自らが横へ動くことで斜めにさびく事が可能となる。10m横へ移動することで1mの範囲が1.4倍となり1.4mの範囲を釣ることができる。そして俺の仕掛けは30cm間隔10本鈎になっているから釣れるポイントにあるエサは3個から4個へとプラス1個得する事になるのだ。『丸秘セコ技』がまたまた大当たりしたようだ、連掛け連発!!俺は横約8mの空間を有効に使いながらキスを釣りまくった、時々18cmクラスが混ざる、ラッキー!!キスも俺を応援してくれていたようだった。ここで俺が一番心がけたことは、キスの釣れ始めるポイントを正確に把握し、そして如何に1匹目のキスを掛けるかだった。1匹目のキスが掛かると、あとの多点掛けは容易だった。その後、よほど釣りに没頭していたのだろう!どんな釣りをしたか記憶に無い・・・周りの釣り人が引き上げて戻って行くのに気づき、あわてて1回戦終了となった。前半の大幅な出遅れがあったため2回戦進出はあきらめていた、ジェリーもあまり釣れなかったようだった。
「いやー、難しい釣りだったねー。」
「こんな釣り方、湘南にはないよねー。」
ジェリーも、経験したことのない釣りに戸惑っていたようだ。
あったー!!2回戦進出者が書かれた白板にはおいらの名前があった!!奇数組で3位、454グラムだった、何匹かは検量時に数えなかったので判らない。俺の釣ったキスは比較的大型が多かったようだ、それにしても3位になるとは信じられなかった。
「國ちゃん、調子いいねー!」
ジェリーが2回戦に進出した事を喜んでくれた。
「2回戦は今修得したパターンでいければ、いいところまで行くかもよ!」とバナナをくわえながらジェリーに言い放ち2回戦に挑んだ。
2回戦の範囲は、本部前に左端の旗が、右側の旗は本部から800m程先にあった。1回戦で俺が釣った場所は本部から左側だったため、2回戦の範囲には入っていなかった。ジェリーの釣った場所もこの範囲ではなかったため状況が判らなかった。困った!何処がいい場所か検討がつかん!何の情報も無い!!おいらの必殺『丸秘セコ技』が使えそうにない。ここは自分の感を信じポイントを選ぶとしよう。おいらは2回戦の範囲のちょうど真ん中付近に、波打ち際の形状が少し変化のある所を見つけた。ここだ!ビビビッと来たぞ!海の感じも良さそうに見える。
開始の合図があった。1色ちょい投げて1回戦同様の探り方でやってみることにした。1回戦のように状況が良ければ1投目から釣れてくるはずだ、少なくとも両サイドの誰かに釣れてくるはずだ。しかし、キスは釣れなかった。2投3投するも釣れなかった。この範囲はキスが薄いのだろう、シビアな釣りになりそうだ、集中力を持続させなければ負けるなどといろいろ考えた。このキスの薄い範囲を効率良く釣るために斜めサビキを行い、やっとキスを釣ることができた。しかし、マイクロピンキスだ、これはまいった。魚影が薄いうえに小型じゃポイントを移動するしかないと考えた。しかし、おいらの確認できる周辺でも状況は同じだった。おいらは2回戦の範囲のセンタ付近にいたので両端の状況は確認できない、右側の方向は子供や一般客で混雑しているのが見えたため、移動をしても魚影の状況は同じだろうと判断し大きな移動は避けた。そこで、スペースが広く空いている所を見つけて小移動を繰り返し行うようにした。2回戦終了まで渋い状況は変わらなかった、なんとか6匹を釣り上げたがピンキスばかりであった。検量するとなんと6匹で47グラムだ、1匹8グラムしかないずいぶん小さいのばかりを釣ってしまった。結果的には両端に入った選手に軍配が上がったようだ、特に右端は魚影が濃かったようだ、キスは大きく、数も沢山釣っていた。2回戦の結果は16位と惨敗だった・・・。
惨敗したが、おいらはぜんぜん悔しくなかった。1回戦でうまく状況を判断することが出来たこと。その後集中的に釣果を延ばすことで2回戦へ進めたことに満足しているからだ。1回戦の釣りで上下浜の攻め方を把握したかのように記したが、「そう思っては大間違いだ!」と自分に確認したい。2回戦で惨敗したように、海は常に変化する、同じ手法が通用しないことの方が多いことを自分の肝に銘じたい。
トーナメントデビューしたキススペC+の感想は、まず、感度が抜群にいい!今回釣った8グラムのピンキスのアタリが感じとれた。おいらの技量では多点鈎の仕掛け付きで遠投して6色半程度が限界だから、遠投勝負の時は使用できない。しかしこれまで、遠投勝負がどれくらいあったかと振り返ると、少なかったような気がする。C+の活躍するチャンスは今後もありそうだ、飛距離を犠牲にしてでも感度や魚の乗りを重視するタックルの選択をする事も重要であろう。
最後に今回に限らず気になっていることだが、競技中に携帯電話を使用している人を見かける、JC地区予選ではメーカーからのルール説明の中に「緊急時以外の携帯電話使用禁止」等の内容は無いが、お互いフェアーに競技したいと望む。 |